恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
校門を出たところで、私は自分の携帯に電話をかけた。
自分の携帯に電話するなんて、変なの……。
全部先生のせいだ。
電話が繋がったら先生に文句言ってやる。
左耳で機械音を聞きながらそう思っていると、4度目の機械音の後に電話が繋がった。
『もしもし』
左耳に入ってきた声に、私は言葉を失った。
誰……?
この声先生じゃない。
先生よりも年配と思える男の声に、私は戸惑いながら口を開いた。
「あの……その携帯、私のものなんですけど……」
私の様子が変なことに気づいた智子は、口パクで『だれ?』と聞いてきた。
私は智子に首を横に振りながら、男の返事を待った。