恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「おーい、泣いてんの~?
俺が泣かせちゃったのかな~?」
男の言葉にカッとなり顔を上げようとした瞬間――
「泣かせたの?」
低い声と同時に、私の鼓動が高鳴った。
今の声……
顔を上げると、目の前の男の顔色が変わっていた。
私の歪んだ視界の中で、男の後ろにぴったりと付いて立っているおまわりさんが見えた。
おまわりさん……が来てくれたんだ。
それに拓也くんも。
「痛てててっ」
「教師は怖くないって?
だったらこの子たちの彼氏はどう?」
涼しげな顔で話すおまわりさんだけを見ると、一見何もしていないように見える。
けれど、おまわりさんと男の数センチの間で、男の手はおまわりさんによって捻り上げられていた。
「すっ‥すすみません!!」
血相を欠いた男の顔から、相当な痛みが伝わってくる。