恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
ふたつの想い
トイレから急いで戻ると、そこにはおまわりさんしかいなかった。
あれ? 智子と拓也くんは……?
キョロキョロしながらおまわりさんに歩み寄ると、おまわりさんが口を開いた。
「智子ちゃんと拓也なら先にお化け屋敷に行ったよ」
「えっ、そうなの?」
「うん。俺達も行く?」
「……うーん」
私はおまわりさんの言葉に、すぐに頷けずにいた。
おまわりさんとお化け屋敷に入ってみたい。
けど、その前に……。
「ん?」
はっきりと答えない私に目を丸くするおまわりさん。
私は思いきっておまわりさんの手を握った。
「ちょっと、その前に教室に付き合って?」
「え……?」
一瞬戸惑いを見せたおまわりさんに私はにっこりと笑い、
おまわりさんの手を引いて校舎の中に入った。