恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
箱を開けた瞬間、おまわりさんの目が大きく見開いた。
「美樹ちゃん、このネックレスに付いてるリングって……」
「うん……おばあちゃんから貰ったネックレスのリング。
二つのうちの一つをこのネックレスに移して私とお揃いにしたんだけど……いやかな?」
「ううん、凄く嬉しいよ」
喜んでくれるおまわりさんの笑顔を見て安心した。
お揃いのアクセサリーだなんて、ちょっとひいちゃうかなって思ったけど、思いきって良かった。
このネックレスは、おまわりさんとの出会いのきっかけをくれた特別なもの。
だから、おまわりさんにも同じものをプレゼントしたいと思ったんだ。
けど、同じデザインのものをプレゼントしても意味がなくて……。
だから、私のネックレスに付いてたリングを一つ外して、買ってきた男性用のネックレスに付け替えたんだ。
「早速つけようかな」
にっこりと笑ったおまわりさんは、両手を首の後ろに回してネックレスをつけようとした。
数秒間の沈黙……
見えない所でおまわりさんの指先が苦戦していることが自然と伝わってくる。
「手伝う?」
私の一言に、おまわりさんは片目を細めて「もうちょっと」っと答えた。
ネックレスをつけるという細かい手先の動き。
そんな些細なことに一生懸命になってるおまわりさんが、なんだかかわいく思えた。
もしかして、おまわりさんて負けず嫌い……?
くすっと笑った私に、おまわりさんはわざと睨みつけるように両目を細めた。
けど、そんな目の下にあるおまわりさんの口元には笑みが浮かんでて、おまわりさんのかわいさが私の中で倍増する。
ねぇ、おまわりさん
今のおまわりさんの姿、誰にも見せたくない。
私だけが知っている……
そう思ってたいよ。