恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
秋の終わり
風の冷たさを肌で感じるようになった10月。
私は四泊五日の修学旅行で、おまわりさんから遠く離れたホテルにいた。
おまわりさんが傍に居ないのは寂しいけど、京都の清水寺や東京ディズニーランドを智子達と思いっきり楽しんだ。
この時期は他の学校の修学旅行ともかぶり、どこも人ごみで時々息苦しくなったけど、
綺麗な紅葉や舞妓さんの姿に見惚れると、息苦しさも消えていった。
そして、今日が修学旅行最後の夜。
私はホテルの廊下にある自動販売機でコーラを買い、おまわりさんにこっそりと電話をしていた。
「もしもし」
『あ、美樹ちゃん? 楽しんでる?』
「うん。もうすぐ就寝時間なんだけど、これから同じ部屋の子たちとおやつ食べながらお喋りするんだ」
『へぇ~、なんか楽しそうだね』
「いいでしょ~。おまわりさんは何してたの?」
『ひとり寂しくテレビを見てました』
弾んだ私の声を聞いて、おまわりさんの声が羨ましいって言ってる。
けどね、私は早くおまわりさんに会いたいよ。
おまわりさんの隣で一緒にテレビを見たい。