恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「おまわりさん!?」
おまわりさんと視線が重なった途端に、胸の鼓動がドキドキと音をたてた。
「えっ、あれ、どうしてここに?」
予想外の展開に、私の頭はパニック状態。
だって、これから家に帰って、着替えて、急いでおまわりさんの家に行こうと思ってたんだもん。
まさかおまわりさんと家の前で会うなんて……。
「交番に用事があったら。
せっかくだから、美樹ちゃんが帰ってくるの待ってようかと思って」
「あ、そうだったんだぁ」
にこにこと爽やかな声で話すおまわりさんに、私はいつもの調子に似た声で答えた。
ずっと会いたかったおまわりさん。
少しでも早く会えたことが嬉しい。
けど……この格好は、見られたくなかったかも。
髪を振り乱してボストンバックを担ぎ、走っていた私。
「荷物、持つよ」
私の肩から軽々とボストンバックを持ち上げたおまわりさん。
岩のように重かったバックをおまわりさんが持つと、綿を詰め込んだバックを持ってるみたいに見える。
「ありがとう」
おまわりさんの隣を歩きだした私は、ドキドキしながら乱れた髪を耳の後ろにかけた。