恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「おかえり」
家の中に入ると、お母さんとおばあちゃんが笑顔で迎えてくれた。
四日間の別れは、家で待ってた家族にとっては長かったんだと思う。
私が思っていた以上に、お母さんたちは私の帰りを喜んでくれたんだ。
けど……そんな感動的な再会は数秒後には消えていた。
私の後ろにいるおまわりさんに気づいた途端に、お母さんとおばあちゃんの目の輝きが増すのを私ははっきりと目にした。
「あら、宮本さん!」
お母さんの甲高い声が、娘の心情を貫く。
やっぱりね……。
お母さんてば、私よりおまわりさんが来たことに喜んでるよ。
寂しい。……けど嬉しいのが正直なところ。
「お久しぶりです。突然お邪魔してすみません……」
「ふふ、何言ってるのよ。これから家族になるかもしれないのに」
「おっおばあちゃん!!」
おばあちゃんの発言で、私の顔は一気に真っ赤に染まった。
恥ずかしくておまわりさんの顔が見れないよ……。
「行こう、おまわりさん」
私はおまわりさんの顔を見られないまま、自分の部屋に向かって階段を上った。