恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


居心地の良い自分の部屋に入り一安心。

ほっとした途端、おまわりさんの声が静かな部屋に響いた。


「荷物、ここに置いていい?」

「あ、うん。ありがとう」


そういえば、今……
おまわりさんと私は二人きり。

それに私、自分の部屋におまわりさんを連れ込んだんだ……。


急に胸の鼓動がドキドキと騒がしくなる。


私ってやらしいのかな……
変に意識しちゃってる。



少し離れた場所に立ってるおまわりさんをチラッと横眼に見た。


おまわりさんは……意識してないみたい。

お父さんから貰った誕生日プレゼントのクマのぬいぐるみの手を動かしてる。


「これ、かわいいね」

「えっ……あ、うん。お父さんが誕生日にくれたの。もう高校生なのにね」


恥ずかしさを隠すような口ぶりで言った私に、おまわりさんは嬉しそうに口を開いた。


「けど、嬉しかったんでしょ?」

「……うん」



見透かされてる。


おまわりさんには、きっと私の気持ちは全て見透かされてるんだ……。





< 332 / 712 >

この作品をシェア

pagetop