恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


相手を欲する想いが舌へと向い、行き場を求めて相手の舌に絡める。

激しく絡み合う二人の舌からは、恥じらいを感じさせない音が響いていた。



「もう、だめ……」


私から求めたことなのに、先にギブアップしてしまった。

だって、おまわりさんの眼差しが私の呼吸を止めるんだもの……。



「はぁ…っん……」


離した唇から酸素を吸い込んだ瞬間に、おまわりさんの唇がまた私の唇を塞いだ。



五感を鋭く刺激され、意識が遠くなりそう。


甘い香りが、止めどなく体内に流れ込む。

熱い眼差しが、潤んだ瞳に映る。

いやらしい音が、鼓膜を揺すぶる。

絡み合う舌が、どんどん深みに濱っていく。

おまわりさんの手が、背中からゆっくりと腰に下りてくる。



もう立っていられない……。


私はひざの裏を小さく震わせ、ベッドに腰を落とした。






< 334 / 712 >

この作品をシェア

pagetop