恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「お母さん……?」
今まで聞いたことのない弱々しいお母さんの声。
けど、その声は確かにお母さんだった。
「お母さん、どうしたの?」
電話からは、返事のかわりに堪え切れない嗚咽だけが聞こえてくる。
「お母さん!? 何かあったの!?」
訳が分からないのに、不安と恐怖だけが湧き上がってくる。
速まる鼓動と共に、
体中の温度が冷めていくのを自分でも感じた。
『お父さん……お父さんが……
死んでしまうかもしれない……』
お父さん……が……?
お母さんの言葉が私の中に突き刺さり
目の前が真っ暗になった――。
死んでしまうかもしれない……
恐怖のあまり、私は床に膝を落とした。
お父さんが……