恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
警察官
夜中の11時。
真っ白な外壁の総合病院。
建物が爆発して大きな外傷を負ったお父さんは、手術室に入っていた。
待合室で目を真っ赤に腫らしているお母さん。
瞼を閉じて祈っているおばあちゃん。
私は涙を堪えることが出来なくて、おまわりさんの腕にしがみつき、声を出さずに泣いていた。
ここに来るまでのことは、あまり覚えていない。
おまわりさんが膝を落とした私を見て、冷静な口調でお母さんと話をしてくれた。
そして、すぐに車に乗り込み、私をこの病院まで連れて来てくれた。
車の中で、おまわりさんが泣いてる私の手を握り、
「大丈夫、絶対に助かる」と何度も力強く言ってくれた。
その言葉だけが、鮮明に記憶に残っていた。
神様
神様というひとが本当にいるなら
どうか助けて
お父さんを助けて――。