恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
願う思い、離れる時間
年が明けて数日が経った頃、
お父さんの容態は落ち着いた。
けど、意識は戻らず……
私たち家族は不安な思いのまま過ごしていた。
「お母さん、少し家で休んだ方がいいよ」
「大丈夫よ。お母さん体力だけは自信あるんだから」
お父さんに付きっきりのお母さんは笑顔でそう言ったけど、その頬は見るからにやつれてて、疲れが表れている。
「無理しないでね」
私は一言だけ伝え、お母さんに微笑んだ。
これ以上は言えない。
だって、意識がなくてもお父さんの傍にいたいって気持ち、わかるから……。
それに、もし離れてる間に容体が急変したら……
時々そんな最悪な状況が頭を過り、離れている時間の方が辛いっていうことも。
「飲みもの買ってくるね」
私は財布だけを手に持ち、売店に向かった。