恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
病院から家に帰った私は、おばあちゃんと夕食の支度をした。
ちょっとしたおかずと稲荷寿司。
味の浸みたあげの中にご飯を詰め込んだんだ。
「おばあちゃん……ちょっと作り過ぎたんじゃない?」
「そうだねぇ……」
気がついたら、器に入りきらない稲荷寿司がいっぱいあった。
「美樹ちゃん、宮本さんに持って行ってあげて?」
「え、いいの?」
「もちろんよ」
おばあちゃんは優しく微笑んだ後、稲荷寿司をパックに詰めてくれた。
「はい、これ。二人分ね」
「え……?」
「せっかくだから、二人で食べておいで」
「ありがとう」
おまわりさん、用事があるって言ってたけど
もう帰ってるかもしれないよね?
家に居なかったら置いておけばいいし……。
私はおまわりさんにメールを送り、おばあちゃんが用意してくれた稲荷寿司を持って家を出た。