恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
おまわりさんの家から一番近いバス停で降りた私は、稲荷寿司が入った布袋を抱き締めるように持った。
急がなきゃ冷たくなっちゃう。
白い粉雪の中、小走りでおまわりさんの家に向かった。
おまわりさん、メール見てくれたかな……。
信号機が赤から青に変わるのを待っている私は、ポケットから携帯を取り出しチェックした。
返事なし、か……。
てことは、帰ってないのかな。
あの角を曲がったらおまわりさんの家がある。
もし、居なかったら置き手紙と一緒に置いて帰ろう。
信号が青に変わって歩き始めた時、一台の赤い車が私の横を通り過ぎた。
それだけで冷たい風が私をビュンッと襲い、身を縮めて横断歩道を渡った。
うう~、寒い。
早くおまわりさんの家に入りたいよ。
早くおまわりさんの温もりに包まれたい。