恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「もしもし……?」
『美樹? どうかした?』
「あっ……うん。メール見てくれた?」
『メール? あっ、ごめん。忙しくて見れてないや。
何かあった?』
「夕食作りすぎちゃったから、おまわりさんの家に届けようと思って……」
『えっ、これから?』
おまわりさんの戸惑った反応に、私の胸はズキッと音をたてた。
どうしてそんなに戸惑うの?
今、女の人と居ることが言えないから?
『ごめん、今日は忙しくて何時に帰れるかわからないんだ』
おまわりさんの嘘――
今すぐその言葉を遮りたかった。
嘘をつかれる前に止めたかった。
けど、止める言葉が出てこなくて……
冷たい頬に熱い涙が零れていた。