恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
言葉
おまわりさんに嘘をつかれた後、ただひたすら歩いた。
立ち止まったらいけない気がしたから。
立ち止まったら、もう歩きだすことが出来なくなるような気がしたから……。
溢れだしそうになる涙のかわりに、空から真っ白な雪が降り積もる。
綺麗な雪が、とても切なく思えた。
どうしよう。
せっかくおばあちゃんが用意してくれた稲荷寿司。
もうとっくに冷えちゃってるよね……。
小さな溜め息が漏れたと同時に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「青木?」
「……先生」
当てもなく歩いていたはずなのに、気がつくと行き慣れた学校の前に居た。
そして、目の前には白い息を吐き私を見つめている鈴木先生がいた。