恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「美樹、一緒に帰ろ?」
「うん」
帰りのホームルームが終わると、智子が私のクラスに迎えに来てくれた。
就職希望の智子と進学を希望することを決めた私は、クラスが離れてしまった。
「じゃあね、結衣ちゃん」
「うん、また明日ね」
同じクラスで仲良くなった結衣ちゃんに手を振り、智子と学校を出た。
智子はおまわりさんと別れた後もずっと傍にいてくれた。
一緒に泣いて、一緒に悩んで……いつも心の支えになってくれてた。
「今日も遠回りして帰るの?」
「……うん」
おまわりさんがいる交番の前を通る勇気がないから……。
「ねぇ美樹、私と一緒に交番の前通ってみる?」
「え……?」
「きっと、このままだと先に進めないよ?」
そうかもしれない。
けど、けどね……
「今は……無理……」
「そっか。無理言ってごめんね」
「ううん、ありがとう」