恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「おまわりさん……」
雨音が強まる中、勇気を振り絞って声をだした。
なのに、私を拒否するようおまわりさんが視線を外した。
「これ、返す」
え……?
「これ返したかったから、偶然会えて良かった」
おまわりさんの手の中にあるもの。
それは私がプレゼントしたネックレスだった。
「これ、おばあちゃんがくれたものだろ?
別れた俺なんかが持ってるのは良くない」
嫌……
やめてよ……
平然とした顔でそんなこと言わないで。
胸の中が切り刻まれたように痛い。