恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
ほとんどの生徒が帰った静かな学校。
玄関で靴に履き替えて上靴を袋に入れた智子が口を開いた。
「これから先生に会うの?」
「うん」
体育館から出た卒業生一人一人と握手をして「おめでとう!」と笑顔で言ってた鈴木先生。
私はこれから先生に会いに行くんだ。
「もう返事は決まってるんだね?」
「うん。もう迷ってないよ」
「そっか……。私はいつも美樹の応援してるから、だから頑張って!」
「ありがとう」
笑顔の智子に胸が熱くなった。
智子がいてくれたら、今の私がいる。
私たちはギュッと抱きしめ合った後、姿が見えなくなるまで手を振り合った。