恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「弱くていい。それに、おまわりさんを好きなものは好きなんだから、無理に変えようとするな。
――そのままの青木で俺のところに来い」
真っ直ぐな瞳で私を見つめる先生の力強い言葉。
まるでゴールのない迷路の中でうずくまってる私に、頭上から手を差し出してくれたかのようだった。
その手を握ってもいいのかな?
歩き疲れて動けなくなった私は、迷路の上に引き上げてもらってもいいのかな?
涙が止まらず両手で顔を覆った。
「青木……?」
さっきとは違う先生の心配そうな声が聞こえてくる。
ごめんね、先生。
今はどんな顔で先生を見たらいいのかわからない。
「おーい、あおきー?」
今度は少し明るい先生の声が聞こえてくる。
そして、優しい温もりが私の体をすっぽりと包んだ。