恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「先生も働き始めた時は大変だった?」
智子の質問に、先生は大きく2回頷いた。
「そりゃ大変だったよ。おまえたちが生徒だったんだから」
そう言って笑う先生に、智子と私は大きく頬を膨らませた。
「けどさ、先生は凄いよね。その大変だった生徒を彼女にしちゃうんだから」
智子に顔を覗き込まれた先生の顔は、一瞬にして赤く染まった。
「おい井上、おまえ性格悪いぞ」
赤い顔のままコーヒーを口にした先生が、なんだかとても新鮮だった。
照れた先生の顔、初めて見たかも……。
私の隣でコーヒーを飲んでる先生の横顔を嬉しい気持ちで見ていた。
「ん? なに?」
「ううん、なんでもないよ」
一瞬目を丸くした先生は、目を細めて優しい眼差しを私に向けてくれた。