恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「その節はすみませんでした!」
えっ――?
浅野さんに向かって深々と頭を下げた一哉。
どういうこと……?
二人の間に居る私は、目を丸くして視線を交互に向けた。
すると、浅野さんが微笑んで口を開いた。
「やっぱり落し物で携帯電話を届けに来た、あの時の人ですか……」
「はい……。落し物だなんて、嘘をついてすみませんでした」
顔を上げた一哉は、悪戯がばれてしまった子供のように、目尻を細めていた。
そっか……
一哉からの誕生日プレゼント。
私がおまわりさんに会えるように、一哉は携帯電話を交番に届けてくれた。
その時の警察官が、浅野さん。