恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
浅野さんは、『事情はわかってるから』と一哉を許してくれた。
いつも優しい笑顔で接してくれる浅野さん。
私と一哉の交際を知った浅野さんは、すぐに喜んでくれた。
おまわりさんとの関係を応援してくれていた浅野さんが、私が他の人と付き合ってる事を知ったらどう思うんだろうって少し不安だった。
けど、嬉しそうに『良かったね』って言ってくれたんだ。
ほんの少し三人で立ち話をした後、浅野さんは視線を私に向けた。
「美樹ちゃん、お父さんの様子はどんな感じ? まだ記憶は戻らないのかい?」
「はい、記憶はまだ……。けど、体は順調に回復してます」
「そうか。じゃあ復帰は――」
「――浅野さん!」
浅野さんの口の動きを止めるかのように、突然大きな声が響いた。
その声は、
おまわりさん――。
浅野さんの後ろに現れた、小さなおまわりさんの影。
おまわりさんの姿に、高鳴る鼓動を感じながら、恐る恐る視線を向けた。