恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



隠してたのは、智子の優しさ。


隠し事をしている智子は、きっと辛かったと思う。


それでも私を思って、隠し続けてくれてたんだ……。



「ううん、私こそごめんね。智子に心配かけて。
けどね、私ならもう大丈夫だよ。さっき、おまわりさんにも先生と付き合ってるって言ったから」


『えっ、おまわりさんに会ったの?』


「うん。だから、大丈夫」



おまわりさんと会ったことを知った智子は、凄く驚いていた。


けどその後、「そっか……」って安心した声が小さく聴こえた。




「拓也くん、警察官になるんだね」


『まぁ、どうなるかわかんないけど、今必死に勉強してるよ』


「楽しみだね、拓也くんの警察官姿」


『うん……』



元気のない智子の返事。


「智子……?」



何か他にも言えないでいることがあるんじゃないかと感じた。





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