恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



待ち合わせをしたレストランで、二種類のスパゲティーを注文した。


野菜たっぷりのトマトソースのスパゲティーとカルボナーラ。


職員会議が延期になったせいか、一哉はご機嫌にカルボナーラを食べ始めた。



「職員会議ってそんなに大変なの?」

「え、どうして?」

「だって、凄く嬉しそうなんだもん」



一哉はフォークを口に入れたまま、目を丸くして私を見上げた。


そして、口の中のものを喉に押し込んだ後、水を一口くちにした。



「大変だよ。なんだかんだで帰りが遅くなっちゃうしね。
けど、俺の機嫌が良いのは、こうやって美樹と一緒にいるからだよ」



にっこりと笑った一哉に、顔が赤面してしまう。



一哉は、時々恥ずかしいことを直球で口にする。


「どうしてそんな恥ずかしいことを面と向かって言えるの?」



顔が熱くなっている私の質問に、一哉は迷うことなく答えた。


「今までは言いたくても言えなかったから。だから、今はちゃんと伝えたい」



真っ直ぐな一哉の言葉に、胸が熱くなった。


胸が熱くなるたび、一哉の思いが心に浸透していく……。





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