恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
テーブルの下で手を握り締めた私に、一哉が口を開いた。
「苦しい……それに悔しいよな……。組織が捕まらない限り、美樹の恐怖や不安は消えないよな……」
「一哉……」
悲しい瞳で私を見つめる一哉の言葉に、涙腺が緩んだ。
自分のことのように、一哉は私の気持ちをわかってくれてる。
「警察学校の噂は、信頼性があるのか?」
「わからないの……。智子の話では、一部の噂らしい」
「そうか……。じゃあ、なんとも言えないな……」
テーブルの上の一点を見つめて考え込む一哉。
私はすがる思いで、その姿を見ていた。
コーヒーが冷めてしまった頃、一哉は視線を私に移し重い口を開けた。
「今は、お父さんの仲間たちを信じるしかないんじゃないかな。
お父さんが信頼して一緒に働いてる仲間だ、きっと犯人を見つけてくれるよ」
「うん……」
一哉の言葉のとおり。
そうすることしか出来ないって
本当はわかってた。