恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「じゃ、またね」
「うん。また電話するね」
智子と店の前で別れようとした時、智子が声をかけてきた。
「美樹、あのね……」
「ん?」
「前に言ってた噂……本当は気にしてるんじゃないかと思って、拓也に噂の出どころをつきとめてもらおうとしたんだ」
噂を嘘だと思い込もうとしていた私の鼓動が、智子の言葉にすぐに反応した。
「でも、それが教官にバレて頭ごなしに止められて、何もわからなかった。ごめんね、何の力にもなれなくて……」
「ううん、ありがとう」
「けどね、拓也の話では、止めに入った教官の様子が妙に慌ててたって」
「慌ててた?」
「うん、だからやっぱり何かあるんじゃないかって……」