恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
思い詰めた顔の智子に、明るく声をかけた。
「そっか、けどもう大丈夫だと思うんだ。お父さんの退院も決まったし、きっと事件は解決すると思う」
「そうだよね? なんだかごめんね、余計な心配しちゃって」
「ううん、感謝してるよ。ありがとう」
感謝の思いを胸に、笑顔で智子を見送った。
けど、頭の中ではいろんなことが渦巻いていた。
本当はもっと噂の真相を知りたい。
誰がどこで仕入れた情報なのか……
事件の細かい内容……
警察官内部の動き。
だけど、これ以上智子と拓也くんに迷惑をかけちゃいけない。
教官が止めに入ったということは、噂の真相はどうであれ、何かしらの問題を内部で抱えてるってことだと思う。
だから、もし事件のことで智子たちの身に危険が及んだら……
もしものことを考えると、怖かった。