恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「いただきまーす」



ふわふわのオムライスと、色とりどりの野菜サラダ。



私が一口くちに入れると、一哉は『美味しい?』って訊くように、小さく首を傾げた。



「ん~~! 美味しい!」


「良かった~。ゴホンッ‥だろ? 俺の趣味は、日曜大工と料理だから」



安堵の声を隠すように、自信満々の言葉を口にした一哉。


私はくすっと笑い、口を開いた。




「私ね、一哉の趣味は日曜大工って聞いてたから、一軒家に住んでると思ってた」


「あ~~、前はそうだった。けど、一人での暮らしはやっぱ寂しくてね。それで引っ越したんだ」


「ふ~ん」


「今ならまた一軒家がいいかな~って思ってる。隣の部屋のテレビとか聞こえてこないし、気も遣わないし。それに……」


「ん?」


「いつか美樹が越して来ても良いように」




にっこりと笑った一哉の言葉に、顔が赤面してしまう。



一哉は、私以上にいろんなことを想像してくれてるんだ……。


嬉しいけど、恥ずかしいよ。






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