恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
高校生の頃、よく私の頭をコツンと叩いてた一哉の手。
悲しんでいる私を勇気づけようと、自分の思いを押し殺して言葉を口にした一哉の唇。
私のために、何度も何度も痛みを抱いた一哉の胸。
全てが愛おしいと思えた。
全てが愛おしくて、切なくて……
「泣いてるの……?」
服のボタンの上で手を止めた一哉は、私の瞳を見つめた。
「うん……泣いてるよ……。
だって、あったかいんだもん。あったかすぎて……苦しいよ……」
こんなにも優しい想いが、ずっと私を包んでくれてた。
そう思うと、自然と涙が溢れていた。