恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「あっ、やべっ!! そろそろ行かなきゃ」
時計の針を確認した一哉は、一気にミルクを飲み干し立ちあがった。
「じゃあ私も出るよ」
「美樹はゆっくり食べていきな? この鍵置いていくから、出たらポストに入れといて」
「うん、ありがとう」
慌ただしくテーブルに鍵を置いた一哉の動きが一瞬止まり、私は一哉の顔を見上げた。
一哉……?
「やっぱポストに入れないで」
「え……?」
「これは美樹の鍵」
一哉は、テーブルの鍵を静かに持ち上げ、私の手の平に置いた。
「い……いいの?」
「もちろん」
優しい眼差しで微笑んだ一哉に、私は微笑み返した。
この鍵、大切にするね……。