恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「あのね、智子たちがあの噂のことを少し調べてくれたの。そのことが教官に見つかって、詳しいことはわからないんだけど……」
私が話している途中で、一哉が口を挟んだ。
「美樹、もうやめた方が良いよ」
え……?
一哉の真剣な眼差しに、言葉を失った。
「美樹の気持ちはわかるよ。お父さんを思えば、いろんな不安や心配ごとがつきないと思う。けど、もうやめないか……?」
「ど、どうして……?」
「美樹が事件に深入りして、美樹自身に何かあったらと思うと怖いんだ。怖くてたまらない……」
瞼の奥に隠れかけた一哉の黒い瞳が、私の心をぎゅっと締めつけた。
私が智子たちに何かあったらと思った恐怖が、一哉の心の中にもあるんだ。
私はそんなことも考えずに、ただ一哉に相談してた。
一哉の気持ちを知ろうともしないで……。