恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「ごめんなさいね。美樹さんのことを知ってたものだから、つい顔見知りのつもりでいたわ」
え? 私のことを……?
目を丸くした私に、女性が口を開いた。
「私は名取梓。あなたのお父さんの部下です」
部下ってことは……
「本署の警察官ですか?」
頷いた名取さん。
よく見ると、おまわりさんより年上で、目尻が少し垂れた優しい雰囲気の人だった。
「けど、美樹さんのことを聞いたのは宮本からよ」
「おまわりさんから?」
「そうそう、そうやって彼を『おまわりさん』って呼ぶことも聞いてたわ」
優しい笑顔を見せた名取さんは、想像してたとおりだと言わんばかりに何度も頷いた。