恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「あの、どうして名取さんとおまわりさんが知り合いなんですか?
私……二人がこの家から出た時に、抱き合ってたのを見たんです」
名取さんは私の質問に目を丸くした後、何かを思い出したように口を開けた。
「ああ、あの時ね。地面が凍ってて転びそうになったの。私がコートの中で子どもを抱き抱えていたから、それで宮本が慌てて助けてくれたのよ」
「子どもを?」
「そう、一歳になったばかりの私の息子。
あの時、急いでたから寝ていた子どもを連れて来てたの」
名取さんの答えに全て納得出来た。
そういえばあの日、急に冷え込んでた気がする。
あのおまわりさんの優しい微笑みは、コートの中の子どもに向けられてたんだ……。
「よかった……」
安堵のため息をついた私に、名取さんは申し訳なさそうに口を開いた。
「ごめんなさい、余計な心配かけちゃって」
私は小さく首を振った。
あれ?
じゃあ、どうして……?
どうしておまわりさんと知り合いなの?
それに、子どもを連れて来てまで急用で会うなんて……。