恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「あの……」
言葉を詰まらせた私に、名取さんがゆっくりと口を開いた。
「知らないことがあるって、不安よね……」
「え……」
「全てを知りたい?」
一瞬「知りたい」という言葉が、喉から飛び出しそうになった。
それを喉の奥に押し詰め、私は小さく首をふった。
「……知りたいけど、信じて待ちます。おまわりさんと約束したから……」
本当はすごく知りたい。
あんな怪我までしているおまわりさんを放っておけない。
俯いた私の耳に、名取さんの大きな声が響いた。
「あのバカ!! どこまで美樹さんを悩ませる気!?
……まあ、宮本の気持ちもわかるけど……」
おまわりさんが居る部屋のドアを見つめた後、名取さんは大きく息を吸って私を見つめた。
「正直、今は全てを話せる状況ではないことは確かなんだけど……。
けど、女の私から見て、このままでは辛すぎるわよね……。かといって、真実に近づいても辛い思いをする。宮本は、それを避けてるのよ」
真実に近づくことを避けてる……?
じゃあさっきの約束は、私のため?
「美樹さんが決めていいわよ。
このまま待つか、真実に近づくか」
私はゆっくりと頷き、口を開いた。
「教えて下さい」