恋 時 計 ~彼はおまわりさん~




涙を拭い、名取さんに質問した。



「犯人は誰ですか?」


「それは……まだ確信がないから言えないわ」


「けど捕まえられそうなんですか?」




名取さんは目に力を入れ、ゆっくりと深く頷いた。



「宮本が何度か犯人らしき男を尾行してるの。今日もそれで無茶をして怪我したんだと思うわ。怪我の場所からして、きっと高い所から落ちたか何かしたんでしょうね……」





それじゃあ、電車に乗ってたのは犯人を尾行してたからだったんだ。

だから自分が警察官だということを隠してた。



あんな怪我をしてたのに、おまわりさんは私を守り続けてくれたんだね……。




向こう側に居るおまわりさんを思いながら、扉を見つめた。




おまわりさん……



おまわりさんのことが、

どうしようもなく愛しいよ……。








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