恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「犯人の関係者が、私たちのことをどこまで知ってるかわからないの。
だから、美樹さんは出来るだけ私たちから離れてた方が良いと思う」
だからさっき名取さんは帰った方が良いって言ったんだ。
けど私……。
「けど、この状況で……帰れない、か……」
「え……?」
溜め息がまじりの名取さんの言葉に顔をあげた。
「あの……」
「帰れって言っても帰るような心の持ち主じゃないわよね?」
「……はい」
帰れない。
危険が迫ってるってわかっても、おまわりさんの傍にいたい。
「じゃあ、一晩だけ傍に居てあげて。条件は、一歩も外に出ないこと。窓から顔も出しちゃダメよ?」
「はい!! ありがとうございます」
この時、初めて名取さんに笑顔を向けられたと思う。
名取さんは、目を細めて微笑んでくれた。