恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
戻ってきたおまわりさんは、両手にマグカップを持っていた。
「はい」
「ありがとう」
渡されたカップの中は、砂糖とミルクがたっぷり入っているコーヒー。
一口飲むと、砂糖の甘味が喉を通して体中に広がった。
嬉しい。
おまわりさんとコーヒーを飲んだのは一度きりだったのに、私が甘党なのを覚えててくれたんだね。
二口目を口にした時、おまわりさんの静かな声が聞こえてきた。
「これが飲み終わったらタクシー呼ぶね」
そうだった。
おまわりさんとこうやって過ごせる時間は限られてるんだ。
事件が解決するまで、また離れなくちゃいけないんだね……。
隠しきれない不安と寂しさが顔に出てしまいそう。
視線を落とした私の額に、おまわりさんが優しくキスをした。