恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



タクシーで家に帰った私は、仕舞っていたネックレスを首にかけた。




おまわりさんの言葉を信じよう。


また会える……。

またあの桜を一緒に観よう。


そして、いつかこのリングを左手の薬指に――。






部屋の窓を開けた瞬間、桜の木の葉が、風に吹かれて大きく揺れた。




まるで何かを知らせてるよう……。





おまわりさんを信じてるのに、胸の不安が高まった。



会いたい。

けど、おまわりさんには会いに行けない。






私は居ても立ってもいられず、お父さんの病院に足を向けた。






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