恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「『俺なんか』じゃない!!」
おまわりさんの怒鳴り声が、静かだった倉庫内に響いた。
「あんたは人の命を奪ったんだ!!
命を奪った人間が、『俺なんか』だなんて言うな!!」
おまわりさんの強い眼差しと言葉。
浅野さんの息子は、見開いた目を泳がせた。
怒りを必死に抑えようと肩で息をしているおまわりさん。
おまわりさんの瞳の奥にあるのは、弱さを知っている強さだった。
「あんたは、これから罪を償うんだ。そして、人の命の重さを、その人から奪ったこの世界の輝きを、その命で感じるんだよ。それが本当の償いだと、俺は思う……」
おまわりさんが胸ぐらを離すと、浅野さんの息子は骨が粉々に砕けたようにその場に座り込んだ。
そして、何も言わずに涙を流した。