恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「美樹?」
ん……
「美樹? 大丈夫?」
「んん……」
薄っすらと開いた瞼の隙間から、温かいものが零れおちた。
「お母……さん?」
車の助手席に乗っているお母さんが、後部座席にいる私に声をかけている。
「大丈夫? もうすぐ家に着くわよ」
そっか……。
私、車の中で寝ちゃったんだ。
もうすぐ家に着くってことは、かなり長い時間寝てたんだ。
あれ……?
今、どんな夢を見てたっけ……。
なんだかとても長い夢を見ていたような気がする。
とても大切な……。