恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
桜色の想い (おまわりさん目線)
久しぶりに帰ってきた家。
リビングの窓を開けると、春の風を感じた。
その一瞬で、たくさんの記憶が蘇る。
色褪せることない想いと共に、胸の音が高鳴っていく。
「よし、荷物整理しないと」
気合いを入れるように袖を捲り上げ、床に置かれている段ボールに目を向けた。
この箱は衣類で、あっちが食器か……。
ひとり分の荷物は思っていた以上に少なく、数時間で全部の段ボールが空になった。
昼食を買いに近くのコンビニへ行こうとした時、家のチャイムが鳴った。
誰……?
そう思いながらも、小さな期待が胸の奥で膨らむ。
それを隠すように、「はい」と低い声で返事をして家のドアを開けた。