恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



花びらが……。



花びらが、まるでこの瞬間を待っていたというように散っている。

ううん、風と踊ってる……。


空を見上げると数え切れないほどの花びらが、雲の上へ上っていた。




「綺麗……」






遠い空を眺めた後、視線を桜の木に落とすと、さっきまで満開のように咲いてた花が消えていた。


それなのに木は、誇らしげに立っているように見える。







あ……


あの人も見てたんだ。




交番の前に立っている栗色の髪の警察官。

彼の背中を見つめた。






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