最低彼氏。
ザザァン…
ドキドキドキドキ…
ザザァン…
ドキドキドキドキドキ…
波の音がするたびに
アタシの鼓動は早くなる。
『聖波…』
蓮がアタシの頬を触る。
触れるか触れないか、それくらい優しく。
『蓮…』
蓮の名前を呼んだ。
ザザァン…ザザァン…
蓮の顔がアタシに近づく。
長い睫毛。
はっきりした二重。
黒目がちの瞳。
すっきりした鼻。
薄くも厚くもない唇。
長めの茶色い前髪。
蓮の全てがよく見える。
ザザァン…ザザァン…
蓮の全てが恋しい。
ザザァン…ザザァン…
『好き。』
その言葉と同時に感じる温もり。
蓮の薫りと海の薫りがアタシをおかしくさせる。
唇を重ねたのは二回目。
『ん…っ』
唇から甘い吐息が漏れる。
ザザァン…ザザァン…
誰もいない海で始まるストーリー。
見ているのは夏の太陽と海だけ。