夏の想
「あーあ。やっぱり、本当のお母さんのほうがいいや」


私は、ある人に電話をかけた。


そう。アリサに―…。


プルルルル プルルルル 


『…ナツ?』


『うん。夏芽。ねぇ、アリサ。どうして自殺しようとしたの?アリサじゃないんでしょう?犯人は』


『………。うん。私ね、虐められてたんだ。中学生の頃。男子にも、女子にも。気が強くて、ウザイって…。高校は、少し遠い、ココにした。おばあちゃん家に結構近かったから、今はそこ。ナツも知ってるよね。でね?ある日、隼人、と一緒に帰れなくて、一人で帰ってたら、無理やり、裏路地みたいなところに連れて行かれたの。私のことをっ、虐めてた奴らがっ!怖くて怖くて、声も出せなかった…。それでね、こう…、言われたの。[違う学校に行ったからって、逃げたと思うな。これからも、虐めてやる]ってさ。私、もう、恐怖でいっぱいで…。私を虐めてた奴らがどこか行った後、もう、足も手も、ガクガクで。もう…、あんな思いをするくらいなら、死んでやろうって思ってた。そこで、ナツの事件があったんだ。だからさ、それで、死んでやろうって思ったんだ。ご免ね…?ナツっ…。ご免…。セナには、さっき言ったの。今から、ナツに言おうって思ってたの』


『アリサ…。そうだったんだ…。ご免ね。気づいてあげられなくて。アリアの辛い想いを』


『ハハッ。何でナツが誤ってんの?ナツは悪くないよ。ってか、気づくほうがおかしいぐらいだよ。見てたの?ってくらいに』


『大丈夫だよ。アリサ。アリサには、私も、セナもついてる。進藤君だって。皆、アリサの味方だよ?安心して?アリサは、一人じゃない』
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