夏の想
「あっ!まだ用意してるんだった!!!」


私は、開けっ放しのキャリーケースの中の荷物を、ゆっくりだけど、整理していった。


「夏芽ー!ご飯できたわよー!」


「はぁーっい!」


私は、結構元気に返事をした。


「ご飯って何ー?」


「今日はねー、お母さんの得意料理の餃子よっ!あと、麻婆豆腐」


「うわっ!超美味しそう!」


「有難う。さっ、食べましょ」


「「いただいきます」」


「お母さん、私と暮らしてお金とか大丈夫なの?」


「ええ。お金は昔、頑張って働いて貯めたの。節約も結構やったのよ。楽しかったからよかったのだけれど」


「そうなの?じゃぁ、これからもいっぱいしようね?」


「ええ。夏芽がいいのなら」


「全然!私もやりたいくらいだよ」


正直、こんな生活を、私は憧れていたのかもしれない―…。


ご飯は、いつも、ママとお父さんはいないことが多かった。
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