夏の想
私は、その手紙を握り締めた。


ポロッ


涙が出た。


どうして、ココまでお母さんは、自分勝手なのだろう。


自分の子どもを傷つけて、そのあげく、どこまで立派に育った見てみたいだなんて。


自分勝手にもほどがある。


私がどんなにお母さんを想い、泣いたことだろう。


他に男を作って、さっさと出て行ったお母さん。


その背中を見ながら、私は泣いたことを覚えている。


「あなた、夏芽、私、好きな人が出来たの。だから、今日でこのうちを出て行くわ」


そう言って、キャリーケースに荷物を詰め込んだお母さん。


「待って!待ってお母さん!夏芽を置いていかないで!お母さん!ねぇってば!」


そう言い、泣いた私。


そのお母さんの相手の男は、チャライ感じの男だった。
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