夏の想
「何したわけ?夏芽に」


「一度、雪芽が、なっちゃんのブレスレット、ほしがったの。なっちゃんは、ダメって言ったらしいんだけど、雪芽、それでもほしがって…。なっちゃん、雪芽の手、叩いたらしいの。で、雪芽は、大泣きして…。私、ついカッとなって、なっちゃんの頬を平手打ちしちゃったのよっ…。その後、なっちゃん、家を出て行って…それからは…」


「んだよそれ……。夏芽が可哀想。母さん、何で雪芽のことでそんなに怒るわけ?夏芽の気持ち、考えろよ。母親が出来たっていうのに、その母親に打たれて。夏芽は、愛してほしかったはずなのにっ…!!!」


「春芽…、落ち着きなさい。あの子は、友達の家に順番に泊めてもらってるんだよ。そのうち、泊まる家も尽きて、帰ってくるさ」


「それでも父親か!?一年ぐらい帰ってきてないのに、泊めてもらってるって言うのかよ。それ誰が考えてもおかしいだろ」


「アナタ、前、私、なっちゃんの本当の母親、真桜さんからの手紙を貰っているのを見たわ。だから、そこに…」


新垣家は、混乱状態が続いていた。


「俺、行ってくる」


父さんは、そういうと、玄関に向かった。


「待てよ!家わかるのか?」


「一度、見たことがあるんだ。家に入っていくところを。よく、覚えているからわかるよ」


そういうと、玄関の戸をあけた。


「待って!アナタ、私も行くわ」


そういうと、二人は車で行ってしまった。



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