夏の想
「じゃあね。さようなら」


お母さんは、キャリーケースをからから引きずって、このうちの出て行った。


そして、離婚が成立したみたいだ。


私はお母さんも想い、その反面、お母さんを恨んだ。


元々、どっちかって言うとお父さんが好きだった。


だから、離婚するならお父さんについていこうと思ってた。


それが、お母さんが出て行ったときの様子だった。


その手紙を、私はビリビリに破り、ゴミ箱に投げ捨てた。


モチロン、便箋も。


そのことは、私はママに言わなかった。


ママはお人よしだから、電話しなさいって言うと思うから。


私は、会う気なんてない。


会いたくもない。私と、お父さんを捨てた人なんかと。
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