夏の想
少し声が漏れてしまう。


お化け屋敷のときよりも、長いキスは、甘くて、ほのかに、苺の味がした。


「エイッ…?いきなりどうしたの…?」


「なぁ、夏芽、俺のこと、エイじゃなくて……………」


最後のほうは何を言ってるか聞こえなかった。


でも、何となく、何を言いたいのかはわかった。


「琉璃っ、大好きっ!」


「俺も、夏芽が大好き。愛してるよ」


チュッと、頬に軽く、キスをする。


私も、チュッと大きめに音を鳴らしてキスをした。


そして、観覧車を降りた。


「楽しかったね?」


私は、後から降りたエイ(今度からは琉璃)にクルッと振り向き言った。


「あぁ!また今度も行こうな!」


今は夏。大好きな夏―。
< 50 / 114 >

この作品をシェア

pagetop